表面吸水試験SWATは、多孔質材料の表面吸水性を素早く評価。温度・湿度・水分といった不確定要素や、何秒経過後の透水速度が重要か、だんだん吸水速度が遅くなっていく表層コンクリートを、どう評価したらいいかといった、単純化しにくい、コンクリート表層品質を、一定のルールのもとに p600値(近似値)をもとめ、評価することができる、実績豊富な試験方法です。現在、表層コンクリートの表面吸水速度を、3段階に評価する方法が推奨されています。
メリット 品質評価基準としての実用性
P600 値を目的とすることにより測定時間を10分と、短い時間で定量的に、コンクリートの表面吸水速度を求めることができます。
SWAT試験器の吸水速度と累積吸水量
①吸水速度 p(t) : 時間tに対する吸水の速さ
②∫p(t)dt : 吸水速度を時間で積分したもの→累積吸水量を表します。
SWAT データ解析 概略
p=a t^-nの式に、実測のデータをフィッティングさせ、係数aとnを決定し、近似値としての、P600値を求めます。
これは、コンクリート内部の吸水速度を、毛細管現象の理論や、多孔質媒体常流のモデルとして考えています。
SWAT データ解析 実際のエクセル作業(貼り付け1回と、ソルバー1回)
①実測では、0.5秒ごとの水位変化を記録します。
②1秒ごとのデータだけを抜き出し、計算に用います。(水位変化)
③1秒から600秒までの各単位面積当たりの累積吸水量を求めます。
④次に近似式P=at^-nに、最適なaとnを、エクセルのソルバーを用い、600秒間の各残渣の合計である残渣平方和が一番小さくなるように求めます。
⑤近似式を用いて、累積吸水量(改善法)でべき乗の積分を使って、各秒ごとに求めます。
決定係数や、残渣(近似-生データ)により試験結果のモデルの説明力を確認します。一般的に決定係数が1に近ければ、モデルの予測が実測値に非常に近いになり、0.5ならばデータのばらつきの半分をモデルが説明できているといった評価方法ですが、SWATでは、0.9以上であれば、P600近似値を採用するよう決められています。
このように、p600値を求めるまでの、データ解析手法が確立されていることが、この試験方法の優れたところです。
このデータ解析については、エクセルに0.5秒ごとの生データを貼り付けることにより、下記の計算結果が自動的(ソルバー作業が1回)に算出されるようになっていますので、現地測定さえきっちりできれば、大丈夫です。以下、計算結果として表示される項目を羅列します。
付属のエクセルファイルで自動的に算出される項目
P600 近
p600生
比 生/近
差 生―近
決定係数R^2
エラー判定(決定係数について)
累積吸水量の残渣平方和
単位面積当たりの累積吸水量(測定データ)(ml/m2)
近似式 p=at^-n (ソルバーにより決定)
生データ(0.5秒ごとの600秒以上のデータ)
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